Family with Pets

​家族信託とは

家族信託とは、簡単に言うと「家族間での財産管理の方法」です。近年、認知症などにより判断能力が低下した時の財産の管理や遺言の代用(二次相続以降の承継者の指定)として利用されるケースが増えています。不動産やお金等の資産を、目的を決めて(認知症対策・老後の生活資金・介護費など)、自分が信頼する家族にその資産を託し、管理や処分を代行してもらうための仕組みです。家族や自分の信頼する人にその資産を託す仕組みですから、高額な報酬発生はなく、資産が多いか少ないかに関わらずに、老後の財産管理のために誰もが利用できる管理制度です。

認知症の発生でできなくなる可能性が高くなること

現金引き出し

​預け入れ

株の売買

遺産分割協議

家の新築・改築

増築その他

金融機関等

からの借入

遺言書の作成

不動産の

売却・購入

家族信託契約

家族信託を活用することで解決!

家族信託の4つのメリット

相続は「死亡」という予測できないことから始まり遺産分割協議という面倒で終わりますが、家族信託は生前に家族で取り決める契約であり、それを相続の相続まで守らせることができます。

①裁判所の関与がない

成年後見制度は資産保全の制度。実際に土地の売却等にはネガティブな場合も想定して信託契約が可能

家族信託は委託者(被相続人)と受託者の契約であり、財産の行方を自由に決めることができる。成年後見制度との大きな違いの一つ。そのため委託者の思いを契約に含めるなど、日本的な家長相続にも向いているため、例えば長男に事業を任せることが想定されます。事業承継やアパートの経営などの相続に活用できると考えられます

②契約内容は公正証書で残せる

契約書の作成は専門家がアドバイスしながらご家族の事情に合わせて、また相続を考えてカスタマイズできます

相続は被相続人の死亡時点の相続財産の処理方法ですが、遺言がない場合法定相続されます。また遺言は被相続人の相続財産のみ決めることができますが、家族信託は被相続人(委託者)が認知症や要介護となった時のこと、相続後のアパートや自宅の管理に関することなどを決めることができるため、相続前からその先まで続く長期的な視点で見ていくことができます

③受託者の判断で管理・売却可能

しかし、その利益は委託者が受ける

家族信託は、委託者(被相続人)の万が一に備え、その財物の所有権を受託者(相続人)に移転するため、受託者の判断で売却することが可能です。例えばアパートの場合、父が認知症となった場合でもアパートの建替えや売却をする権限が長男にあり、その家賃収入や売却益は父に入るとしたら、介護を円滑に行うことができるうえ、アパートの賃貸借契約やリフォームの契約等も長男ができるため、資産の維持管理が同時に可能となります。

④相続人が被相続人となった場合も想定して信託契約が可能

相続人が高齢である場合に孫を指定

信託契約は契約なので自由にできるのがメリット。例えば受託者死亡を想定したなら、第二受託者を契約して取り決めるなど自由度が高く、またその書式は公正証書に残すこと以外、遺言に比べ、形式は自由度があり使いやすいです。しかし相続に精通し、家族信託を研究しているものでなければ、どのように契約を取り交わせばいいかなど難しことがあります。この制度自体まだ運用実績が全国でも少ないため、より一層専門的な知識が必要です。

家族信託Q&A

Q.1

家族信託は自分で行う事はできるのでしょうか?

 結論から言いますと、現時点では難しいでしょう。なぜなら司法書士・弁護士等の法律の専門家でも理解するのに時間がかかる制度ですし、まだまだ書籍や情報も少ない中で一般の方がご自身で行うのは困難だからです。もし、インターネット等で契約書だけをダウンロードして契約をしたとしても様々な問題が起きる可能性や、意図している効果を得られない事も有りますので必ず専門家に相談されるのがベストだと思います。

Q.2

家族信託はどこに相談すれば良いのでしょうか?

 司法書士等の専門家でも、家族信託契約をサービスとして提供している事務所はまだ少数です。当事務所の様に実際の経験が有り、専門のホームページが有る様な専門家に依頼されるのがベストです。

 実際に我々の様な専門家向けの書籍や情報も不足していますので、家族信託に実務であたった事が有るかどうかが大きなポイントです。

Q.3

家族信託は信託銀行が関わるのでしょうか?

家族間で、信託契約を行うのが家族信託ですので信託銀行は登場しません。ですので高額な手数料等は必要ありません。勿論財産額がかなり大きい方や、受託者が見つからない様なケースの場合は信託銀行を使って信託契約を行うケースも有ります。

家族信託の活用事例

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CASE : 01
高齢の資産家が認知症による資産凍結リスクを踏まえ相続税対策をしたい

地主家系のA(80)がたくさんの不動産を所有していますが、これまで相続税対策について考えたこともありませんでした。このまま相続が発生すると、数億円単位の相続税を納めなければいけません。Aの推定相続人は、長男、長女、次女の三人で、円満な兄弟関係です。長女と次女は嫁いでいるため、多くの土地は姓を継ぐ長男が相続することにAと家族・親族の全員が納得しています。今は元気なAですが、年齢を考えると早急に相続税対策を考え、将来の納税資金を用意しておかなければなりません。これから不動産を子へ売却したり生前贈与したり、数年かけてマンションなどの建設等を考えていますが、数年にわたる資産の有効活用・相続税評価減の計画途中でAの判断能力が低下してしまうと計画が頓挫してしまうため、心配でなかなか計画を実行できません。

解決策

Aは、長男との契約において、A所有のほとんどの不動産を信託財産とする信託を設定します。 その内容は受託者を長男、受益者をAとします。さらに、受託者長男が暴走して勝手に土地を売却するなどして資産を散逸しないように、司法書士を信託監督人として予め契約の中で設定します。Aが死亡した時点で信託を終了させ、信託の残余財産の帰属先を長男又は長男の子に指定します。信託財産とした不動産以外の資産(金融資産等)については、長女と次女に相続させる旨の遺言を別途作成しておくことで、長女も二女も不満を抱かないようにします。また、長男に対しては信託財産から毎月一定額の「信託報酬」を、司法書士に対しては「監督報酬」を信託財産の中から支出するように、信託契約の中で取決めをしておきます。

幸せな家族
CASE : 02
子供に生前贈与してもその財産を親が管理することで不安を払拭したい

Aは、同居して老後をみてくれる前提で、結婚したばかりの長男に自宅不動産と預貯金を生前贈与しようと考えています。しかし、長男は新婚なのでまだ子供を授かっていません。もしこの状態で贈与後に長男が先に死んでしまうと、Aの自宅不動産とその預貯金は、長男のお嫁さんに相続分が発生してしまいます。大きな財産を手にした嫁が傍若無人な振る舞いをし、Aが将来家を追い出されてしまうかもしれないという不安や元々Aの財産であったものが将来息子の妻側の親族に搾取されてしまうのではないかという不安を抱いています。また、長男に生前贈与しても、事業を営む長男が財産を散逸しないように、従来通り自宅不動産及び預貯金の実質的な管理権限はAの手元に残しておきたいと考えています。

解決策

Aは、自宅不動産および預貯金を長男Aに生前贈与します。それと同時に長男は父親Aとの間で、受託者をA、受益者を長男、贈与した不動産及び預貯金を信託財産とする信託契約を締結します。もし長男がAより先に死亡した場合でも、信託契約は終了させず、第二次受益者を長男の妻とし、第三次受益者をまだ産まれていない長男の子にしておきます。長男と妻の間に子供が生まれなければ、第三次受益者を長女側の親族に設定することも可能です。受託者Aが死亡した場合は、信託は終了します。残余財産は、長男が生きていれば長男、長男が既に他界していれば長男の妻や長男と妻の子供に帰属させるように規定します。

笑顔の食事
CASE : 03
子のいない資産家夫婦が死亡の順番に関係なく自分の親族に財産を遺したい

子供のいない夫婦であるA(66)と妻(62)は、共に医者でそれぞれが1億円近い金融資産を築き保有。Aは、もし自分が先に死んだら一旦妻に相続をさせたいが、妻も亡くなった後は、元々の自分の遺産分(1億円程度)は、自分の甥と姪に残してあげたいと考えています。また、妻も同じようなことを考えていて、もし自分が夫より先に死んだら一旦夫Aに遺産を相続させたいが、夫も亡くなった後は、元々の自分の遺産は、自分の甥と姪に残してあげたいと考えています。『自分が死んだらすべて配偶者に相続させる』旨の遺言を双方が作るだけでは、Aと妻のどちらが先に亡くなるかで、どちら側の親族が莫大な資産を受け取るかが左右されるという不安定な状況になってしまいます。なお、親族関係は非常に良好で、Aの甥、姪と妻の甥、姪は相互に交流もあり、Aと妻の将来の介護についてもそれぞれが協力してサポートする旨の話合いはできています。

解決策

Aの遺言で信託を設定。その内容は、自分が妻より先に死んだ場合、全財産を信託財産に設定し、妻側の甥を受託者にして財産を託します。受益者を妻にし、妻の生存中は妻側の甥が信託財産から必要に応じた財産給付を行い、妻の介護サポートや財産管理全般を担うこととします。そして甥がきちんと莫大な遺産管理をしているか監督する立場として司法書士を信託監督人に設定。妻の死亡により信託が終了するように定め、信託の残余財産の帰属先を甥及び姪に指定します。こうすることで、Aが医師として蓄えた財産は、A側の親族に承継可能です。また妻も、遺言書において信託を設定します。自分がAより先に死んだ場合、全財産を信託財産として設定し、A側の甥を受託者にし財産を託します。受益者を夫Aにし、Aの生存中はA側の甥が信託財産から必要に応じた財産給付を行い、Aの生活・介護のサポート及び財産管理全般を担うこととします。そして、甥がきちんと莫大な遺産の管理をしているかを監督する立場として、司法書士を信託監督人に設定します。Aの死亡により信託が終了するように定め、信託の残余財産の帰属先を妻側の甥及び姪に指定します。